日本の夏といえば、キンキンに冷えたアイスコーヒー。
コンビニでも、家でも、カフェでも「氷入り」はもはや当たり前です。
けれど、海外では「氷を入れないコーヒー」が主流な国が多いのをご存じでしょうか。
実は、そこには“温度の国民性”が隠れているのです。
☕ アイスコーヒーが“日常”な日本
日本で「アイスコーヒー文化」が根づいたのは戦後。
高度経済成長期のオフィスワーカーが、夏の暑さをしのぐために冷やしたコーヒーを求め、
喫茶店がそれに応えたのが始まりといわれています。
いまや日本では「氷が入っていないと落ち着かない」と感じるほど。
透明なグラスの中で氷がカランと鳴る音まで、
どこか“涼しさの演出”として生活に溶け込んでいます。
🌍 海外では「氷=味を薄めるもの」
一方、欧米や南米では「コーヒーに氷を入れる」のは少数派。
理由はシンプルで、「味が薄くなる」ことを嫌う文化だからです。
たとえばフランスやイタリアでは、
エスプレッソのような濃厚な味と香りを楽しむのが主流。
氷を入れるなんて「せっかくの風味を台無しにする」と考えられています。
また、カフェ文化の根底には
「ゆっくり飲みながら会話を楽しむ」時間の価値観があります。
氷入りの冷たい飲み物は、急いで飲み干す“ファストドリンク”の印象が強く、
ゆったりと過ごす時間とは少し距離があるのです。

🧊 “冷たい”が心地よい日本、“温かい”を尊ぶ世界
日本人は昔から「四季の変化」を敏感に感じ取る民族です。
夏の暑さを少しでも和らげたいという感覚が、
冷たい飲み物や氷菓の文化を育てました。
一方で、寒い地域の人々にとって“温かい飲み物”は心の安心そのもの。
北欧やカナダなどでは、ホットコーヒーを一年中飲むのが普通です。
氷を使うことは、「わざわざ冷たくしてどうするの?」という感覚。
つまり、「冷たい vs 温かい」は、気候だけでなく“人の心理”の違いでもあるのです。
🌡️ 温度が映す“人との距離感”
興味深いのは、飲み物の温度が人との距離感にも関係していること。
日本では「冷たいお茶を出す=気軽な関係」「温かいお茶を出す=丁寧な関係」と言われます。
海外では逆に、「温かいコーヒーを一緒に飲む」ことが親密さや信頼の象徴。
温度は、単なる嗜好の違いではなく、
人との関わり方そのものを映し出す“文化の温度計”なのかもしれません。
🌅 結論:氷ひとつで、世界が見えてくる
「氷を入れるか、入れないか」──たったそれだけで、
その国の気候、価値観、コミュニケーションまでもが見えてくる。
日本では“冷たさ”に涼を求め、
海外では“温かさ”に安らぎを求める。
その違いを知るだけで、
日常のコーヒータイムが少し深く、静かに楽しくなる。
氷の音に耳を澄ませながら、
それぞれの国の“心の温度”を感じてみてください。
文:Zawats 編集部(世界と日本の発見担当)
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